片足放浪記~ユニバーサルデザインを求めて~|聞平堂

2010/01/07

めがね(1-1)

「それじゃあ、メガネでも作ってみるか。」と高柳師匠。
「メガネ? そ〜んな、いくら手打ちモノでも、
鉄で作った重そうな眼鏡なんて、誰もありがたがらんでしょう。」
「アホ。博多鋏の模様がないやつを“メガネ”って言うったい。
なんでか知らんけど、昔からそう呼ばれよった。
たぶん開いた姿がメガネに似とるけん、
親しみを込めて、そんな愛称で呼びよったちゃないかなあ」
「へ〜。……じゃあ、設計図はどれになるんですか?」
「博多鋏のやつと一緒やね」
00107-1.jpg
えっ、ということは。ほぼ博多鋏ってことじゃないですか!
キターーーーー、師匠、ついに本格的伝授の第一歩目ってことですね。
わかりました! 博多鋏の火は僕にまかせていてください。
と、今回もポジティブシンキングな僕は気分よく、作業を始める。

さて、まずは地切り、鋼の鍛接、までが終わったものが下の写真のもの。
00107-2.jpg00107-3.jpg
もう地切りは楽勝です……と言いたいところなのですが、
実はこれ左右それぞれ2本目で成功しておりまして、
地鉄を1本づつ無駄にしております(涙)。
だいたい厚さ5mm、幅15mmほどの地鉄の棒があるのですが、
これを2寸ほどの長さを使い、足の部分を細く引き伸ばす。
穂は1寸5分ほどを使い、そこに鋼を鍛接し、
その後、刃の形を、槌のみで形成する。
鍛造の最終段階では、穂と足の間、アゴとアイの部分に段がついており、
あと、シノギも薄っすら斜めに入っております。
当然、ここから削って研いでいくわけですから、
ここまでの形の中に、完成するものが入ってないといけません。
ちょっと穂が薄かったりすると、
これからどんなに頑張っても厚くなることは決してないわけですから、
ここでの判断は最後まで響いてくることになります。
といったところが難しくて、
ついつい穂の部分やアゴの部分を打ちすぎたりしてしまって、
地鉄を2倍分、無駄にしてしまいました……師匠、ゴメンナサイ。

なにかの本で読んだけど、鍛冶職人は1000万円分くらいの鉄を無駄にして、
ようやく一人前になれるって書いてあったなあ……。
しかし、僕かあ、師匠に月謝のようなもんを一切払っておりません。
そりゃあもう師匠にとっては迷惑な存在ですよ。
でも、習い事にしたくないんで、僕かあ月謝を払いません。
ものにならんと思ったら、どうぞ、おん出してください。
と、言ってはいませんが(笑)、そんな気持ちでいるんです。
高柳師匠には、現在、弟子といわれる人が存在しません。
高柳師匠に限らず、鍛冶屋の世界は今、
後継者がほとんど存在しない状況です。
その大きな理由のひとつは、
弟子を1人、喰っていかせるほどの仕事がないんです。
だから、僕かあ、食っていくための仕事は別に持ちながら、
この技術を伝承していきたいと思っている訳です。
この方法でしかこの時代、鍛冶屋の仕事は引き継げないでしょう。
このままでは確実に鍛冶屋はなくなってしまいますよ。
00107-31.JPG
そんな僕の気持ちを知ってか、知らずか
今のところ、師匠はおん出す様子もなく、教えてくれています。
まだまだ、師匠も僕も、お互いを探り合っている状態ですが、
皆さん、どうか僕らを温かく見守っていてください。

さて、次回は荒研ぎ、そして焼入れです。

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去る、12月11日に
日田市の津江中学校に呼ばれまして
人権学習会の講師としてUD講演をさせていただきました。
ところで津江中学校の場所ですが、住所は日田市中津江村栃野
といえば日韓W杯にてカメルーンがキャンプ地に選び有名になった
あの中津江ではありませんか!
91216-1.JPG おお、初めて訪れたのですが、上の写真でも分かるとおり
の〜〜〜んびりとした、いいとこでした。
こんなところで仕事ができるなんて、なんてシアワセ!
で、講演ですが……。
今回、初経験となる中学生に向けての講演ということで……
前半、手探り状態で、なかなか心をキャッチできず。
後半、開き直って、ちょっとは盛り上がったかなあって感じ。
また今回、今までにない新しい要素も取り入れたんだけど、
それもうまくいかず。
91216-2.JPG ちょっといつもと違うと、だいたい最初は失敗するんだよなあ。
でも、いい経験させていただきました。
中学生に何がウケるか、ちょっと分かったような気がします。
次は絶対納得のいく講演にしてみせます。
誰か呼んで。

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2009/12/10

宗旦鋏(1-3)

さて、我が人生において初の自作鋏・宗旦鋏を見てもらおうと
清川の大庭師匠のとこを訪ねたときのこと。
ディスクグラインダーでなにやら風呂の蓋を切断していた師匠。
「何やってるんっすか」と尋ねる俺。
「いや、ちょっと、ばあさんに頼まれてね」と師匠。
「そっかあ、一流鍛冶職人もカミサンの頼みだけは断れなんだあ。
それはいいとして、ちょっと手休めて、これ見てくださいよ」
と自慢の宗旦鋏を手渡す。
91111-1.jpg
「どうっすかあ、僕の1本目。植木鋏っす。紙もきれますよ」というと
「な〜んね。紙は切れて当たりまえたい」といって
奥からビニール袋を持ち出してきた。
……ビニール袋、切れませんでした。
「そりゃあ植木鋏ですもん! カシメ(目釘の締め付け)も甘いですし……」
と言っても聞く耳持ちゃあしません。
い、い、一本目ですよ師匠。
ちょっと厳しいっちゃあないですか(号泣)。

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2009/11/24

宗旦鋏(1-2)

さて、研ぎです。
鋏鍛冶職人にとっては、これからが本番といわれる作業。
その神経の使い方も、費やす時間も、これまでの倍って感じです。
とにかく基本は穂の裏部分、摺り合わせ部分を、真平らにすることです。
ある程度はグラインダーで削って、あとは砥石で浸すら研ぎます。
91124-1.jpg91124-2.jpg
砥石といっても使っているのはダイヤモンド砥石と言われるもの。
鉄の板にダイヤモンドの粉が埋め込まれた、ヤスリのような砥石ですな。
表面が#400の中研ぎ用、裏面が#1000の仕上げ研ぎ用になっております。
これで、毎晩2時間ずつくらい、1週間かけて研いで、
ようやく紙は切れるようになりました。
91124-3.jpg91124-4.jpg
僕の場合、鍛造とグラインダー操作がまだまだ未熟で、
本研ぎの前の段階で、かなり穂の裏がうねってしまっておりまして、
これだけ時間がかかってしまうはめになってしました。
しかし、それでも一方の穂のムネ(刃と逆の部分)部分は、
平らにすることができずに、研ぎ残しを作ってしまっております。
91124-7.jpg91124-8.jpg
もう、その差は、紙一重なんてもんじゃありません、
ビニール一重って感じですね。
だいたい日本刀の世界においては、
研師といわれる人が別にいるくらいですから。
ほんと鋏鍛冶職人への果てしなき道のりを思い知ります。
91124-5.jpg91124-6.jpg
「おお、ついに完成したか」
といって高柳師匠は、近くの植木の小枝を切ってみた。
「まだまだ甘いけど、最初にしては上出来やね」
「そうでしょう。自分でもこんなんが作れたなんて信じられませんよ。
ところで今度、師匠の作った宗旦鋏も見せてくださいよ」
「俺は宗旦鋏は作ったことないばい。博多鋏を作るので忙しいけん。
でもまあ、最近植木鋏も作りたくなってきてな。
そこで、まずはお前さんが作るのを見て研究しようと思ったわけよ」
「……、えーっ! じゃあですよ、
博多でこの宗旦鋏を作った人間って久しぶりなんじゃあないですか」
「そうだなあ、50年ぶりくらいじゃないか」
「えーーーーーーーっ」
いいんでしょうか、50年ぶりの男がこの僕で。

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2009/11/16

宗旦鋏(1-1)

「はい、これ。設計図のようなもんね」
91116-1.jpg
「えっ? これ、博多鋏じゃないですよね」
「おお、宗旦鋏といってな、植木鋏。黒田藩が使いよったごたぁ」
「な〜んだ、博多鋏じゃないんですか」
「アホ。こっちのほうが難しいんばい」
なぬ? それはどういう意味でしょう、師匠。
そうか、僕の才能を認めてくれて、最初からより高いハードルを与えてみようと。
虎は子どもを崖から突き落とすという、あれと同じようなもんですね。
と、ホジティンブ・シンキングな僕はそう理解して、
今回も気分良く、鍛造作業に挑む。

ちなみに“宗旦”とはなんぞや。
ネットで調べてみると、
千利休の後妻千宗恩の連れ子・千少庵の息子に
千宗旦という方がいらっしゃって、
宗旦流という茶道を切り開いた相当な人物がいたらしい。
この方と関係があるのかなあ……
と、今のところ、これ以上は定かではない。

さて、鍛造作業に戻ります。
設計図を見ると、「目方 参拾匁」とある。「匁?」。
またまたネットで調べると1匁=3.75gみたいですな。
1匁は5円玉1枚と同じ重さらしい。
あと、「穂長2寸7分」「足長7寸2分」とある。
1寸=3.03cmですな。
ということで、作り方としては、
まず、その重さ分の鉄を切り出します(地切り)。
そして、鋼を鍛接(ワカシツケ)し、(ここまでが下の写真のもの)
91116-2.jpg91116-3.jpg
その後、足や穂の長さを図りながら伸ばし、
設計図と同じような形に鍛造していくって感じですな。
で、鍛造が終わると、今度はグラインダーで生研ぎをします。
生研ぎとは、鍛造の時に発生した酸化膜の除去や金槌跡の凸凹を
滑らかに仕上げる工程ですな(ここまでが下の写真のもの)。
91116-4.jpg91116-5.jpg
ここで基本となる形態を一度完成させます。
それから、目釘穴の位置を慎重に探り、ドリルで穴をあける。
あとは、いよいよ焼き入れです。
高柳師匠のとこでは、鉄のコップにのようなものの中で熱せられ、
液体状になった鉛の中で行います(左下写真)。
「温度は780度くらい。目安はそうだなあチェリー色ってとこかなあ」
と師匠に言われて、真っ赤な鉛を見つめますが、
見れば見るほど分からなくなって来ます。
結局、師匠に 「はい今入れて、もうよか出して、すぐ水に浸ける」
と言われるがままに、この工程を終える。
91116-6.jpg91116-7.jpg
最後に焼き戻し。
180度くらいに温められた菜種油の中に10分ほど浸けて置きます(右上写真)。
と、ここまでで第1段階が終了ってとこでしょうか。
これで、だいたい週末修行2回分費やしております。ほえ〜。
ですが、鋏造り全工程においては、まだまだ1/3が終了した程度。
この後、本研ぎが待っているのですが、
これがまた果てしなく長い(鍛造が下手くそなせいもあるんですが)。
鋏鍛冶職人の仕事はこれからが本番といっても過言ではないそうです。
91116-8.jpg91116-9.jpg
ひえ〜。では、本研ぎはまた次回に。

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2009/11/09

Spork

ふらっと立ち寄った薬院の雑貨店、
「B・B・B POTTERS」にて見つけたこちらの商品。
スプーン、フォーク、ナイフが一体化となった食器です。
一方がスプーンになっており、その反対側がフォークになっておる。
で、フォークの一辺にギザギザ型のナイフがついているというもの。
91016-1.jpg91016-2.jpg スウェーデン製ということで、ビビットな色使いが印象的。
さすが、日本にはないセンスの良さを感じますなあ。
しかも、ポリカーボーネットという樹脂素材で作っているらしく、
なんでも旅客機の窓の部分にも使われている素材とのことで、
ちょっとやそっとじゃあ割れないし曲がらないなど機能性も抜群です。
なんと-130度から130度まで大丈夫といいますから
電子レンジや食洗機にもかけられます。
91016-3.jpg91016-4.JPG 使い心地も軽くて、適度にしなって、良好です。
娘の運動会にて初めて使わせてもらったのだが、
娘にも、周りにも好評であった。
アウトドアではもちろん重宝いたしますが、
インドアでも、箸がまだ使いきれない子どもや、
箸が苦手な障害者&高齢者にもいいでしょう。
なんせオシャレなデザインですから、
使っていて悲壮感が漂わないのがいいですねえ。
91016-5.jpg91016-6.jpg しかし、考えてみれば、箸は箸で、
運ぶ・刺す・切るの作業が一度に出来るって、優れた品物だよなあ。
これが難しい手の動作を必要とせずに、カッコ良くデザインできたら、
素晴らしいユニバーサルデザイン・グッズになるでしょうに……。
とは言うものの……難しいなあ。

ちなみに、楽天市場にて同じ商品のものがありました。
写真をクリックすると購入できるサイトにリンクします。

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2009/10/30

火箸(2)

前回紹介した我が人生において初の自作火箸。
実は2日がかりで制作しております。
「しかし、これぐらいのものは1日で作らんと話しにならんばい」
と高柳師匠に言われたので、目標1日で2本目に挑戦です。
前回のものは全長が約40cmほどの、
まあ、いわゆる普通の大きさの火箸であった。
で、今回はちょっと小さめの、
ヤットコのようなサイズの火箸を目指すことに。
ということで、そこらへんに転がっていた直径1cmほどの鉄の棒をいただく。
これを前回同様、まず穂の部分を作って、アシを伸ばし、
アイの面をつぶして、目釘を通して、出来上がり。
91030-1.jpg91030-2.jpg
鍛造機の操作も随分慣れてきて、目標の1日をクリアできました。
週末修業の土曜日は、だいたい1時半ごろ出てきて5時過ぎには帰るのだが、
約3時間半で仕上げたことになりますな。
ちょっとアシの長さが左右合っておりませんが、
手作りならではの味ってことで。
「いいっちゃない。なんかに使えるやろ」
と高柳師匠にも言っていただけました。
「鍛造機の使い方もうまくなってきたなあ。
そろそろ鋏を作ってみるか?」
キターーーーーー! ついに師匠!
僕に鋏作りを伝授されることを決断されたんですね。
僕かあ、やりますよ!
博多鋏の火は僕が守ります!

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伝統的な工芸の世界にユニバーサルデザインを融合させる。
そんなことができる鍛冶職人になりたい。それが僕の夢。
鍛冶職人ではありませんが陶磁器デザイナーに
そんな僕の夢を、もう何年も前に実現されている方がいらっしゃった。
世界的に有名なプロダクトデザイナー・森正洋。
90902-1.jpg90902-2.jpg 彼の作品で最も有名なのは、
白山陶器(長崎県波佐見町)の社員デザイナー時代に製作した
「G型しょうゆさし」でしょう。
(下の写真のもの。楽天市場のアフィリエイトで
写真をクリックすると購入できるサイトにリンクします)

白山陶器や森正洋という名は知らない人でも、
このしょうゆさしの形を目にしたことのある人は多いのではないでしょうか。
1961年の弟1回グッドデザイン賞を受賞した作品です。
氏はその後1978年に白山陶器を退社し、
森正洋産業デザイン研究所を設立。
2004年には無印良品の「和の食器」シリーズをプロデュースした
といえば、まだ記憶に新しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
で、本日紹介させていただきますこのワイン・カップは
そんな森氏の作品で、数年前に「長崎県美術館」で購入したもの。↓
http://uinversal.seesaa.net/article/42467905.html#more
下の写真は、カップをぐるっと一周させたものですが、
90902-3.jpg90902-4.JPG 90902-5.jpg90902-6.jpg その機能的(持ちやすく、飲みやすい)で美しいフォルムは
まさに僕が目指している、理想型といえるもの。
これ見よがしの手形じゃないところがいいんですよね。
それじゃあ、いくら使いやすいからって、気分が悪いじゃあないですか。
90902-7.jpg90902-8.JPG まだ、恐れ多くて、一度もこのカップでワインを飲んだことがありません。
は〜、やればやるほど、知れば知るほど、落ち込む今日この頃。
僕にもこんな作品を作れる日がやってくるのであろうか。
ちなみに森正洋氏は2005年11月12日永眠されおります。
合掌。

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2009/07/22

クジラナイフ

ネットの通販で手に入れた、とあるナイフが届きました。
こちら商品名を「クジラナイフ」と申します。
ネーミングだけ聞くとクジラを捌くための
巨大ナイフか!? と恐ろしいものを想像される方もいるかもしれませんが、
なんのこたない、まあ全長15cmほどの切り出しナイフである。
90722-1.jpg90722-2.jpg で、なぜにクジラかと申しますと、そのフォルムがクジラなのだ。
黒い胴体部分はナイフの柄に、白い歯の部分はナイフの刃に
なっている両刃の工作用ナイフなのだ。
ぽちっとあけられた目が、またなんともカワイイこと。
90722-3.jpg90722-4.jpg しかしこれ、ナイフとしての切れ味はなかなかもので、
それもそのはず、作られたのは高知県の鍛冶職人・山下哲さんとおっしゃられる方。
正真正銘、手打ちの鍛造ナイフなのである。
高知山田の刃物といえば、古くから林業が盛んな地ならではの
頑丈で切れ味鋭い刃物として有名。
それがどうしてこのようなナイフを制作したのか?
90722-5.jpg90722-6.jpg なんでも「子供に鉛筆を削らせたいので、先の尖ってないナイフを作ってほしい」
という保護者からの依頼がきっかけらしい。
また、高知県の沿岸はホエールウォッチングの好ポイントでもあることから
このクジラのフォルムを思いついたみたいですな。
90722-7.jpg ちなみに我が娘に使わせてみたところ、なかなか上手に使いよる。
初めての刃物に感動の様子で、
いろんなものを無駄に切りまくり&削りまくりおった。
90722-8.jpg90722-9.jpg 確かに自分も子供だった頃、初めて「肥後の守」を手にしたときの
あのドキドキ、ワクワク感は今でも忘れられんなあ。
しかし「肥後の守」なんてナイフ、今の10代、20代の人は知らんめえ。
僕らが小さい頃、工作用ナイフといえば「肥後の守」だったもんよのう。
って、古すぎ? それにしても、
この子供にとってのユニバーサルデザインといえる「クジラナイフ」。
またしてもやられたって感じです。
もうちょっと早く鍛造技術を身につけて、僕が作りたかったなあ。
って、夢ばかりは膨らんでおります。

ちなみに下の写真をクリックすると購入先にリンクします。
(楽天市場のアフィリエイトです)

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2009/06/17

バーディ

て、こちら。
なんだかお分かりでしょうか?

90617-1.JPG
ペンギン型をしたアクセサリー? インテリア?
子供のおもちゃ? などなどに見えませんか。
実はこれ商品名を「バーディ」といい
(大きい方は「ハンディ・バーディ」、
小さい方は「ミニ・バーディ」)
「tripod design(トライポッド・デザイン)」
という会社が作ったボールペンなんです。
これは、まだ僕がユニバーサルデザインという
コンセプトに興味を持ち始めたばかりの頃、
最も分かりやすく、そのコンセプトを具現化し、
見せつけてくれたものがこの商品でした。
‘99年に発売され、’00年には数々のUDアワードを獲得された作品です。
で、どこがユニバーサルデザインなのかを解説させていただきます。
と、その前に、
「ユニバーサルデザインの7原則」というのがあるのをご存知でしょうか?
ユニバーサルデザインの提唱者である故ロナルド・メイスが中心となり
アメリカ政府の依頼をうけ、まとめられたものがあるんです。
では、その原則に沿ってご説明させていただきます。

原則1「誰にとっても公平に利用できること」
90617-2.JPG
小さいのが子供用、大きいのが大人用として使えます。
あと最大のポイントは、
握力の少ない人でも握りやすいようにとの想いが込められた形なんですね。

原則2「使う上で自由度が高いこと」
90617-3.JPG90617-4.JPG 90617-5.JPG90617-6.JPG
ということで、手のひらの大小によったり、
握力の大小によって、様々な握り方ができるようになっています。

原則3「使い方が簡単ですぐ分かること」
90617-7.JPG
ほんと最近は文房具までジジイには複雑で分かりにくいものが多すぎます。
いったいどこの釦を押せば書ける状態になるものやら……
そこへいくとコチラは、キャップを外して書くだけ。
すぐ分かります。

原則4「必要な情報がすぐに理解できること」
90617-8.JPG
例えば写真のものは右利き用で、これとは別に左利き用ってのも存在します。
もう、持てばすぐに理解できます。
またカラーコントラストもはっきりしており、
視力の弱い人でも認識しやすいように作られています。

原則5「失敗や危険に繋がらないデザインであること」
90617-9.JPG90617-10.JPG
キャップの先っちょは、目を突かないよう、まあるく作っております。
首かけ式は、紐がどこかへ引っ掛かっても首が絞まらないように
セーフティーアジャスターが仕込まれています。

原則6「無理な姿勢をとることなく、少ない力で楽に使えること」
90617-11.JPG
ボールペンってあんまり軽いより、
ある程度の重さがあったほうが書きやすいんですよね。
このボールペンには内部にわざと重りが仕込まれています。

原則7「アプローチしやすい空間が確保されていること」
90617-12.JPG
首かけ式にすることによって書きたいときにすぐ手に出来る、
そんなアプローチの場面が想像されています。
という具合に完璧に7原則を満たしているのであります。
僕はこのボールペンを初めて目にしたとき、感動とともに
なにか悔しさに似たものが込み上がってまいりました。
なんちゅうか、自分には発想できなかったものを見せつけられると、
できない自分が情けなくなってくるというか……
そんな感情ってないですかねえ? 僕だけ?
才能もないくせに、負けず嫌いなんですよねえ。
それからずっと、目標のようなものにさせていただいているんです。
ユニバーサルデザインを取り込んだ、ビジネスモデルとして、
僕もこんな仕事ができる人間にならないかんと。
まだまだって感じです。

「tripod design(トライポッド・デザイン)」
http://www.tripoddesign.com/jp/home/index.html