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--VOL.3-- パリで働いたグルニエアパン 2002.8.24 |
私はいつも、パンの工房から店内をながめつつ、あのテーブルに座って、ゆっくりコーヒーを飲み、パンを食べるのはきっと気持ちいいだろうなと思っています。外の景色をながめつつ、心地よいふんいきの中で焼き立てのパンを食べる。こんないい場所はないと思います。焼き立てのハード系のパンほどおいしいものはないです。絶対食べてほしいです!きっと幸せな気持ちになれると思いますよ。
Cest Tres Bonオープンの直前、フランス パリのBoulangerieパン屋さんグルニエアパンという所で働きながら、おいしいお菓子やパン・料理を食べ歩きました。
グルニエアパンはパリ13区プラヌドイタリー通りにあります。3年ほど前はじめてパンを買いに行って以来私の大好きなお店でした。(今回の料理王国という雑誌のパン特集にも出ています。)バゲットコンクールで1位に輝いたこともあるくらいパリでも大人気のパン屋さんです。フランス人ばかりの職場にとび込んでいく、がんばって勉強しているつたないフランス語、パン作りの技術、そして笑顔だけがたよりです。
仕事は教わるものではなく、見てぬすみ、やらせてもらって学ぶ。いかに短期間でどれだけのことが吸収できるかが勝負です。絶対受け身なんて考えられません。普段はトレボンで一緒に働くスタッフに教える立場にあるのでなかなかそうはいきませんが日本でのすべてのものを捨て、一からグルニエでパン作りを学ぶ気持ちで働くと、いろんなことが発見できます。技術的なことだけでなく、そこで働く職人さん達のパン作りに対する考え、フランス人の食事におけるパンの位置づけ・食べ方などいろんなことが勉強になります。
グルニエでは、朝5:00から仕事を始めます。パンもお菓子も売っているので、工房の手前では、バゲットをはじめとするパンがどんどん焼け、工房の後ろではタルトやミルフィーユ・パウンドケーキなどが作られてきます。落ち着く10時くらいに、朝ごはんをみんなで食べます。中庭みたいな所があって、そこにみんなで集まり、コーヒーと好みのパンを2つくらい持ってきて話をしながら、食事をします。パンはグルニエで売っているものを選んでもってきてよく(帰りにもらって帰ってもいいのです。)私はこの機会にグルニエのすべてのパンを食べようとがんばりました。みんなは、バゲットを腹割りにして、バターをぬり、ハムやチーズをサンドして、クロワッサンにさらにジャムをぬって、バゲットをコーヒーにひたしながらなどして食べていました。コーヒーには必ずといっていいほどたっぷりの砂糖を入れます。フランス語はまだ全然うまくないので必要最小限のことしか話せません。日本語だと、本音で率直に物事を言うことって、どれくらいあるのだろうと思います。一緒に仕事をする中で、もっとうまく話せたらいいのにと思うことも多くあるけど、気持ちが通じた時の喜びはほんと大きいものです。心が通じる喜びを感じることができるのです。日本の普段の生活の中で、忘れてしまっている大切なことなのではといつも思います。一生懸命がんばっているのを認めてもらえたら、いろんなことを教えてくれるし、仲間として受け入れてくれます。パンを作る仕事を通して、こういう体験ができるのは、幸せだなといつも思います。グルニエで学んだパン作りの技術は、今のトレボンのパン作りに大いに生かされていますし、グルニエの職人さん達のエスプリは私の中に生きています。このままずっとグルニエで働いていたいと思えるほど楽しい職場でした。
朝はやくから一生懸命パンを作って、中庭の緑の木々のもとみんなで一緒に朝食のパンをかじり、昼過ぎには仕事を終え、また中庭でみんなでお昼を食べてA demain!(また明日)と言って帰る。グルニエでの日々は、朝・昼・夕とグルニエのパンを食べ続けた幸せな日々でした。決してその味は忘れないし、その味を求めておいしいパンを焼き続けたいと思っています。
いろんな方々から温かいお言葉を頂き、私はその方々のためにも絶対においしいパンを焼かなくてはいけないと思っています。
先日あるお客様より、イルムスの頃よりハード系の商品のむっちり感が全体的になくなったのではないかと感じましたというご意見を頂きました。製法も配合も基本的に一緒のはず。空調の風の当たり方も影響するのかな・・・など考えました。でもその方は、ずっとオープンを楽しみに待って下さっていたそうで、禁断症状もでるくらい期待が高まっていたのでそう感じたのかもしれませんとも言われていました。ほんとうにうれしい限りです。むっちり感の件は、日々心がけてチェックしていこうと思います。気軽にいろんなご意見を下さい。いいパンを作り、皆様に食べてもらって幸せな気持ちになってほしいと日々考えています。“食卓を豊かにするパン”そんなパンを焼いていきたいと思っています。もうすぐ9月秋が近づいてきました。新しい商品をいろいろ考えています。お楽しみに・・・・・