セ・トレボン --VOL.14--
感性を磨くことの大切さ
2002.3.28

 ふと気づくと、家の前の公園の桜の花が咲いていて、とてもきれいでした。2日前は、まだ全然咲いていなくて裸の寒そうな木だったのになとびっくりしました。ふと目を移すと、私の家の庭にもたくさんの花が咲いていました。普段、朝早く夜も遅いので花などに目がいかないのですが、春の訪れにしみじみと見入ってしまいました。以前にも、桜の木の話を書きましたが、今年も桜の花を見て、いろいろと考えていました。冬の間はまるで枯れ木のような姿で寒さに耐えしのいでいるのに、ある時パッとはっとする様な美しい花を咲かせる。あの寒い冬の姿はこの時のためにあったのか、あの冬の姿を見ているからこそ、今の美しい花を咲かせている桜の木がよりいっそう美しく映ります。
 苦しい時を、しっかり耐えて体験しているからこそ、より一層幸せを感じることができるのだと思います。幸せかどうかを決めるのは誰でもない自分です。なにが幸せかって人それぞれ違うけど、苦しくても辛くても、その中に幸せは存在すると思います。辛さを味わったからこそ幸せがより一層感じられると思うのです。
 去年の4月、私は一人でトレボンオープンに向けてパンの試作をしていました。でも何となくさみしくて、作ったパンも輝いていなかった様な気がします。今、食べてもらえる人がいるから、その方々のためにパンを焼くことができるから、心を込めたおいしいパンを焼くことができるのだ思います。 イルムス時代、ほとんど知られていなくて全然パンが売れなかった頃、そして閉店してしまい、パンを焼くことができなかった数ヶ月、そのときの経験があるので、今、多くのお客様にパンを食べていただけることを心からうれしく思います。いろんなことで悩んだり、仕事と寝るだけそんな毎日の繰り返しですが、ほんと幸せだなあっていつも思っています。

”感じる心、感動できる心“

 パンを作る上で大切なことは、感じる心をもてるか、感動できる心をもっているかではないかと思います。(きっと、パンを作る上でだけでなく、生活していく上でのいろんなことにも言えると思いますが…)感じる心をもてるか…少し表現はわかりにくいですが、ただパンを作るだけでなく、毎日いろんなことを発見して疑問を感じたり、今日はこうだったから明日はこうしよう、なぜこうなるんだろうと物事からいろんなことを感じることができる人は、技術が伸びるのもはやいです。ただパンを作っているだけ、こなしているだけという人はいつまでたっても進歩はないと思います。先日、あるスタッフにバケットを捏ねながらバケットの話をしていました。小麦粉、水、塩、イーストのみで作るバケットは、ごまかしのきかない一番難しいパンです。生地の捏ね方、捏ね上がった生地をどこに置いて発酵させるか(涼しい所か温かい所か)成形時の生地の締め方、カマ入れ時のクープの入れ方、蒸気の量、その日の湿度、気温すべての要因が影響します。それを感じて判断し、その日の適切なやり方でバケッドを作ります。
 こういう風なことを話しました。そのスタッフが次の日、「大西さん きのうバケッドの話を聞いたときは、ふ〜んという感じで聞いていたんですけど、家で寝る前にふとそのことを思い出して、すごいなーってわーっと感動がこみ上げてきたんです」という風なことを言いました。それを聞いて私は、きっとこのスタッフは伸びるだろうと強く思いました。同じことを体験しても、同じものを見ても、同じことを聞いてもそれを感動できる人とそうでない人がいます。いかに感動できる心をもてるかそれが大切なことではないかと思うのです。
 私はフランスのパン屋さんで働かせてもらって、技術を学んできました。行く毎に、アイテムや製法にアレンジを加え、このトレボンのパン達を作りました。私は長期で行っていたわけではなく、働きながら2週間程度の休みをもらいフランスに行くことを繰り返しました。ですので、1つのパン屋さんで働くのは、長くて1週間、短いと1日、3日という所もありました。そんな短期間では、もちろん主要な仕事をさせてもらえることは少ないです。そんな中でいかに仕事をもらうか、そこの仕事を見るか、見て感じ、見て学んで本質をとらえる。すべての感覚をとぎすまし、限られた時間で、吸収できるすべてを学ぼうとしてきました。
 フランスである人から言われたことがあります。「現場には行って働いても意味がないよ。それよりもパリにあるいろんなお店を見て感じたり、美術館に行って絵を見た方がいい。」そのころはパン作りをすごく勉強したくてたまらなかったので(今もそうですが…)現場に入り、仕事をすることが楽しかったんです。ですので、そういわれても、私は現場に入りたいと思っていました。でも今ではわかるような気がします。
 感性を磨くこと、これは技術を学ぶことよりも大切なことだと思うからです。時間が経てば、技術は自然と身に付きます。しかし、感性は磨かなければいけないからです。

パンとチーズのおいしい組み合わせ

1.白カビ系(ブリードモー、カマンベール)はバゲットやライ麦入りのパン(フルートなど)そば粉のパンとも合います!
2.やぎのチーズは熟成してくるとくるみと一緒に食べるとおいしいのでパンオノア(いちじくくるみのコンプレ)
3.エポワスなどのウオッシュタイプはブリオッシュ系のパンと(プチクグロフ)
4.ロックフォールなどの青カビ系は、くるみとレーズンが入った甘系のパンと合う。ロックフォールとバターもまぜてパンにのせて食べるとおいしいらしい。
5.コンテ(セミハードタイプ)サンドのシンプルなスタイルとしては定番。コンテとジャンボン(ハム)

あるセミナーで聞きました。あまりチーズには詳しくないので、私も近いうちに試してみようと思ってます。

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