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--VOL.20-- パン作りの本当の意味 2003.8.5 |
6月のある日1本の電話がありました。
私はその電話が来る日を、少し不安な気持ちとともにずっと待っていた気がしました。
オープンしてすぐの頃(ちょうど1年くらい前)まだトレボンのことがみんなにあまり知られていなくて、売り上げも今の半分以下の頃です。40代後半から50くらいの男性のお客様でパンノアール(ライ麦と穀物がぎっしりつまった黒パン)が好きな方がいらっしゃいました。その頃、パンノアールはあまり売れていなかったので作るのを週末だけにしていました。そのお客様とお話した時、ここのパンノアールはどこのよりもおいしい、今まで東京とかいろんなお店の黒パンを探したけれど、求めるものに出会えなかったんだよ。でも、ここのパンノアールとバゲットは絶品だよと言って下さいました。そして、そのパンノアール好きのお客様に、おいしい食べ方とかを聞いてパン通信でも紹介したりしました。その頃から、パンノアールがだんだん売れる様になり、毎日作る様になりました。
その方は、東京に転勤になるということで、パンノアールとバゲットを食べたいのでたまに送ってほしいということで、何度か東京へパンを送りました。ある時、奥様がお店へ来て下さり、次のパンを送る予約をして下さりました。それが、年末発送の承りで代金も頂いていました。その後、少し送る日程をのばしてほしいという電話がありました。その送りの伝票は、それから半年あまりトレボンの予約ボードにはられたままだったのです。私はたまに気になりつつも、また、ふと福岡へ来て下さるのを待っていたのかもしれません。
6月のある日、たまたま私が受けた電話が奥様からの電話でした。すぐにわかりました。
ご主人はガンで亡くなられたそうで、49日のその日に、好きだったあのパンを食べさせてあげたいので、あの時のパンを送ってほしいという電話でした。私は心を込めてパンを焼きました。パンノアールとレトロバゲットとフリュイセックトレボンのオープンしてすぐの頃、思ったより売れゆきが悪い時、ご主人のお言葉ですごく励まされました。そして、今回パンを作ることの意味を教えられました。人の心に残るパン、また食べさせてあげたいと思えるパン。私は決してパンという物を作っているのではない。パンを通して伝える心、思い出を作ってお客様に届けているのだとこの仕事のすばらしさを教えて頂きました。
今でも、ご主人とお話した時のことが、鮮明に目に浮かびます。きっと、これからもずっと私がパンを作っていく上で、決して忘れることはないと思います。また、ふとお店に寄って下さる様な、またふとどこかでお会いできる様な気がするのです。お客様に、また食べたいと思って頂けるパンを、心を込めて焼いていきたいと思います。パンを通して、いろんなお客様と出会い、お話させて頂くことの幸せを思いました。パンは決してパンという物ではない。そのことを深く教えて頂けた出会いに感謝します。
毎月、第3水曜日が定休日となりました。今月は8月20日(水)です。お忘れなく・・・ 梅雨も明け、暑い夏がやって来ました。普段、あまり日中外に出ないので気づかないのですが、休みの時とか外に出ると、すっごく暑いですねー。気分もめいってしまいそうなくらいに。そんな時におすすめなのが、パンパーティーです。トレボンのスタッフでもたまにやってます。仕事が終わってつかれてる時、トレボンのパンと、バター、チーズ、ハムとかてきとーにかんたんなものでいいのです。“すごいおいしいよねー、トレボンのパン”とお互いにほめ合いつつ、パンを食べ、わいわいと話をする。たったそれだけなのだけど、なんだか元気でますよー。みなさんも友達や家族でお試しあれ。今度、トレボンのパンを食べることがメインテーマのパーティが、ユゲさんプロデュースのもと8月末に開かれます。くわしい日程などは、後ほどお知らせします。 K.O.