セ・トレボン --VOL.31--
フランス修行の旅 2
2003.3.20
パリの有名なパン屋さんを、メデール氏が案内してくれました。パリでも、多くの賞をもらい、今注目されているパン職人メデール氏おすすめのパン屋さんをご紹介します。パリに行かれる予定のある方はぜひ訪れてみて下さい。

AU 140(オ・ソンキャゴント)20区
140,Rue de Belleville 75020 M Jourdain下車

2001年のバゲットコンクールで1位のお店です。パン屋さんとお菓子屋さんが隣り合わせで同じ経営です。2002年のバゲットコンクールで1位をとったメデール氏とは知り合いだったので、オーナーが出てきてくれ工房の中を案内してくれ、ミキサー、カマ、低温発酵中のパン生地、自然発酵種などを見せてくれました。メデール氏とオーナーはパンやお菓子の現状の興味深い話を1時間以上もしていました。(しかし、早口で私にはほとんどわかりません。それがとっても残念でしたが、その場所に一緒にいれるだけで幸せでした。)
自家製のプラリネやいろんな種類のおいしいショコラ(まるで宝石箱の様でした)大きな石釜のあるとてもすてきなパンとお菓子のお店です。

La Flute Gana(ラ・フリュットガナ)20区
226,Rue des Pyrenees 75020 M Gaubetta下車

お店のつくりがとてもすてきです。プーリッシュ法で作るバゲットは有名で、長時間発酵とすべて手成型で作らなくてはいけないという味わいのあるバゲットです。ガナショーさんの製法で作るフリュットガナのバゲットを作っているお店はパリの中にも数店見ることができます。パリパリのパイ生地にりんごとプルーンの包まれたお菓子を食べたけどすごくおいしかったです。

MoiSAN(モワザン)14区
4,AV.de General Leclerc 75014 M Denfert-Rocherean下車

Bio(ビオ)の小麦粉(無農薬小麦)を使ったパン屋さんです。他のパン屋さんにもBioのパンは必ず1品はありますが、ここはすべてがBioのパンです。私はこのお店で、ブリオッシュにバターが折り込んであるパンを、メデール氏はブリオッシュにりんごが巻かれているパンを買い食べました。後から後悔したのだけれど、ハード系のかたいパン食べればよかった・・・と。

Boulangerie MAEDER 15区
129,bis Rue Saint-charles 75015 M charles Micheles下車

そうここは、私がスタージュ(研修)したラウルメデール氏のいとこのブノワメデール氏のパン屋さんです。メデール氏のお父さんはアルザス出身なのでこのお店にもアルザスのパンやお菓子が並んでいます。クグロフ、プレッツェル、リンツァータルト、タルトフランベなどなどここの工房で、2人のメデール氏と話をしながら、それまでまわって買った6軒分くらいのパンやお菓子を切り分けて、みんなで食べました。普通フランスの職人さん達って日本のパン屋さんと違って他の店のパンを買ってきて試食比較したりしないのですが、(他の店がどうだろうと気にしてない様です)“うん、うちのがうまい”とか、なんだかおもしろかったです。ブノワメデール氏の所のバゲットの作り方について聞いている時、私がうまく理解できなさそうにしていると、ラウルメデール氏にうまく話してくれみたいな感じで言ってくれ、フランス語からフランス語に通訳してわかりやすく説明してくれたのですが、わかる様な・・・?

他に訪れたのは Maison Kayser(メゾンカイザー) パリに私が知るだけで7店あります。
LE MouLIN DE La VIERGE(ル・ムーランドゥラヴィエルジュ)
Le Quartier du Pain(ル・カルティエドゥパン)15区

そして私が今回スタージュ(研修)させてもらった2軒のパン屋さんの住所です。

18区にあるチュエリー・ムニエ氏のDuc de la Chapelle(デュックドゥラシャペル)
32-34 rue T.Tzara 75018 M Port de la chapelle下車
17区にあるラウル・メデール氏のBoulangerie Raoul MAEDER(ブーランジュリー メデール)
158,Bd.Berchier 75017 M Port de courcelles下車

シャルルドゴール空港に降り立ち、タクシーにのってまっすぐにムニエ氏のブーランジュリーに向かいました。(前回6月にホームステイさせてもらい研修したパン屋さんです。)久しぶりの再会、ちょっとドキドキしながらスーツケースをひきずってムニエ氏のパン屋へ入りました。バンドゥーズ(パンを売る人)に“ボンジュール”と声をかけ、工房をのぞくと、ムニエ氏がちょうどバゲットをカマ入れしていました。ムニエ氏はMOF(フランス最高技能章)を持つパン職人です。私に気づくと、“あー!かお!!”と大声で叫んでくれ、こっちへおいでと言ってくれました。それがすっごくうれしかったんです。覚えててくれて喜んでくれた。なんだか懐かしくて心地よい気分でした。久しぶりのあついあいさつを交わし、再会を喜びました。今回はスケジュールの都合上ムニエ氏のパン屋でのスタージュは2日だけで、その後は前回の通信で紹介した17区のメデール氏のパン屋でのスタージュの予定でした。ムニエ氏は“他の研修先に行く時もずっとうちに泊まっていていいんだよ。そうしなさい。”と言ってくれました。ほんとうは、ずっと泊まりたかったです。マダムの手料理とかわいい息子達に囲まれとても居心地のよい家でしたから。ただ仕事は朝が早くバスもなかったために通えないので、ムニエ氏の家には2日だけお世話になりました。
でも、ムニエ氏のパン屋さんでのスタージュが終わった後も、メデール氏の所でスタージュしている間も、バスにのってムニエ氏のパン屋にちょくちょく通いました。その毎にムニエ氏は、温かく迎えてくれ“どうだい、ムッシュメデールはやさしいかい?楽しいかい?”と心配してくれ、ほんと温かい所でした。“かおりお昼食べて行きなさい・コーヒーのむかい”といつも声をかけてくれ、まるで心地よい自分の居場所の様でした。
前回スタージュさせてもらったサンドイッチ屋さんにも立ち寄りました。久しぶりの再会、笑顔でむかえてくれコーヒーを飲みながらいろんな話をしました。私が日本から送ったお礼の手紙と写真は、いつもここに置いてるんだよ、とレジの裏の棚からさっととり出して見せてくれました。すごくうれしかったです。いつでも寄ってサンドイッチやコーヒーを飲んでいきなさい。いつスタージュに入りに来てもOKだよ。ここに来て好きにしていいんだよと、ほんと温かく接してくれました。パリに来て、いろんな人の包まれる様な温かさに触れました。見知らぬ土地に来て、私の居場所のある心地良さがありました。訪れ、久しぶりの再会を喜び合う人がいることの幸せ。パンを作る仕事を通して知り合うことができた、この出会いに心から感謝しました。毎日がむしゃらにがんばっててよかった。この仕事をしててよかったとほんと心から思える時でした。心から幸せを感じ、感動できるのは、決してモノではなく、人との出会い、触れ合いの中にあるのだと思います。うまく言葉が通じないからこそ、人の心の温かさがすごく心に浸みました。日本にいると忘れかけてしまっている大切なもの、人への思いやり、心の深さ、広さ、温かさ、人にとって一番大切なものを、フランスに来て一番感じました。そういう心を持った人が、人を感動させることのできるパンを作ることができるのだと、フランスへ来て強く思う様になりました。私は、フランスのパン屋さんでスタージュしながら、技術を学ぶことだけを目的としているのではなく、仲間との、尊敬する人との触れ合いの中に、生きる勇気とエネルギーをもらっているのだろうと思います。パン作りを通して広がる大きな世界があります。毎日生活しているその場所とはまた違う所に、普段の価値判断とは異なる世界も存在することを知りました。

春の心地よい風を感じる季節になりました。毎月第3水曜が定休日です。

K.O.

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