セ・トレボン --VOL.48--
3周年を迎えて思うこと
2005.7.19
 7月22日でトレボンは3周年を迎え、4年目へと入ります。イルムスの頃(5・6年前)からずっとパンを買いに来て下さっている方とお会いする毎に“ありがとうございます”と感謝の気持ちでいっぱいです。いつもパンを買いに来て下さる皆様のおかげであっという間にというか無事に3周年を迎えることができました。ありがとうございます!!3年間あっという間の様だけど、いろんなことがありました。苦しかったこと、うれしかったこと、悲しかったこと、心から喜んだこと数えきれない思い出とともに、私にとって技術的にも人間的にもひとまわりもふたまわりも成長できた3年間だったと思います。1人1人抱きしめてまわりたいくらいすてきなスタッフとともに、パンを作り過ごした日々の中で、いろんなことを考え、学ばせてもらいました。1人1人の成長が私にとっても大きな喜びであり支えです。私はいつも、皆様に喜んで頂けるパンを焼くことができているだろうかと考えています。きちんとした一定レベルのパンを毎日焼けているか、パンを通して喜びや幸せをお届けできているだろうか。
 私の3年間、苦しい時、道に迷った時いつも支えてくれたのは、お客様から頂く声や手紙でした。お客様との関わりの中で、たくさんの勇気や励ましを頂きました。イルムスの時(約4年前私が3年間働いたパン屋、会社の都合により3年で閉店)私は製造の仕事のみにしか目を向けていませんでした。オープンして3年後の閉店の時、はじめてお客様の声を知りました。最後の何日かは予約のパンしか焼けないほど別れを惜しむお客様の声を頂きました。最後の日お客様にかけて頂いた声に、涙を流しながらバゲットを成型した事を今でも覚えています。“この方々のためにパンを焼きたい。”それがトレボンオープンの時の私の一番の気持ちでした。私にとってパンを作ることの意味は、私の存在する意義とは、パンを通して私にできる事は何か。このイルムス閉店を経験することで、どんなに苦しいことがあっても絶対に乗り越えることができる勇気と強い意志を持つことができました。このイルムス閉店の時の体験と、トレボンがオープンしてお客様からかけて頂いた励ましの声の数々がなければ、きっと私は毎日食べる寝る以外生活のほとんどを費やしたパン作りの日々を乗り越えることができず、安楽な生活へと走っていたかもしれません。でも、今良くわかっている事は、苦しく自分の思いどおりにならない時を経験し、がんばり抜くことができるのだと思います。

出会いについて

 今振り返ってみて、現在の私があるのは2つの大きな出会いのおかげです。人生を変えることができるほどの大きな出会いを大切にし、その縁を生かせるかは本人次第です。
 1つ目の出会いは小柴さん(フランスでパン屋を経営、イルムスオープンの時いろいろと教えて頂いた師匠であり、その後の人生の別れ道では必ずといっていいほど登場し、アドバイス(すっごくおこられたことも…)をもらいました。)イルムスベーカリーに転職したのは26才、それまでの私は大きな製パンメーカーの商品開発部の仕事をしていました。今考えてみるとほんとに甘い奴でした。同僚と集まっては会社への不満や上司の愚痴を言ったりしていました。仕事よりもダイビングやスキー、スポーツクラブ通いに精を出すただのOLでした。
 もっとパン作りを学びたいとイルムスに転職して、世界の広さを知りました。そして今、自分の使命とは何かを思い抱く様になりました。イルムスの閉店で、石村萬盛堂に入社し、トレボンをオープンするに至りました。2つ目の大きな出会いは石村社長です。精神的な面で強くなれたのは、石村社長の考えに触れ多くのことを学ぶことができたからだと思っています。自己中心的考えの自分から、少しずつ人の役に立つ仕事をしたいと心から願い、より心のレベルの高い状態の自分まで成長することにより、スタッフをまとめ気持ちをひとつにしておいしいパンをお客様へお届けすることができているのではないかと思っています。
 このお二人から学んだ共通の考えがあります。輪廻転生に関する考えです。小柴さんからある本を勧められ難しくて読むのを途中で断念していたのですが、石村社長の話の中で、その本ともう少しわかりやすく書いてある本を紹介され、私の尊敬するお2人が勧めるのかと少し不思議に思い読んだのがきっかけでした。この本により私は考え方の根本を変えることができ、より楽に生きることができる様になりました。
 そして3つ目の出会いは、仁瓶さん(ドンクの取締役をされており、パン業界ではとても有名な方です)ではないかと今思っています。トレボンがオープンして3年、立ち上げてからはうまく店をまわしていくこと、目の前のことをこなすことで精一杯でした。スタッフも成長し落ち着いてきた今、ふと自分の目標(夢)は何なのかと立ち止まりました。自分の役割や日々やらなくてはいけないことはよくわかっていました。しかし…(何度か通信で書いてきました)そんな時、仁瓶さんとの出会いがきっかけとなり自分の中にある目標を決めることができました。その目標を決めることによって私の中で何かが確実に変化していきました。もっと勉強をしなくてはいけないこと、人間性を高めなくてはいけないこと、いろんなことが見えてきました。“よく通信にその目標を書くことができたね、普通は失敗した時のことを考えるとプライドとかがあって書けないよ”と言われました。私は単純に何も考えていなかっただけなのですが。私も目標に向かってがんばる、だからみんなも一緒にがんばろうというメッセージを送りたかっただけです。私は目標を決めれた事に大きな意義があると思っています。そうすることで自分の中の意識が変わる。そして、その目標に向かって具体的に動いていくことで、出会いがあり新しく学ぶ数々のことがあると思うのです。何かを始めなければ、それまでの自分と何ら変わらない。もしかしたら結果はダメかもしれない。でもいいと思うのです。きっとそこにはひとまわり大きくなった自分がいると思うから、私はもっとおいしいパンを作れる様になりたいと願っています、お客様のために、そして自分自身のために。ただそれだけです。
 そして最近あることを思う様になりました。自分の使命とは何なのか。あまり女性が活躍していないパン業界において、そして女性の職人が着実に増えてきている現状において、努力次第でがんばればここまでこれる、大変な仕事だけどたくさんのことが学べ、パンを通して自分が成長できるだけでなくお客様へ幸せをお届けできるすばらしい仕事なんだということを伝えていきたいと思っています。
 この目標はほんと私にとっては難しい目標です。でもがんばっていれば応援してくれる人もいたり、そういうことがほんと心からうれしかったり。この目標のためにいろんなコンクールにも挑戦していこうと決めて今3つのコンクールへ応募して、3つとも予選落ち、久しぶりに受験に失敗したような気分で、本命の目標の難しさを改めて実感。でもがんばりますよ!負けません。

人の縁って不思議ですね

 小柴さんと石村社長は、私を介して知り合い、会社同士が技術提携を結んでいます。そして先日石村社長と仁瓶さんが出会い、一緒に話をされる機会がありました。私に大きな影響を与えて下さった方々が、私の縁を介して出会っていくことに不思議というか幸せを感じています。そして仁瓶さんと話をしている中で“守破離(しゅはり)”という言葉を言われました。この言葉は、石村社長の経営理念でもあり、お二人共通の考えに私はびっくりしました。小柴さんの時もそうでしたが、ほんとに不思議な思いでした。心が通じているということ、出会いのすばらしさに感謝です。

守破離

 私の目標であるクープドモンド(パンの世界大会)の日本代表選手を決める国内予選を目指すにあたりどういう風に勉強していけばよいかを質問しました(このことはクープに限らず、これからパンを作っていく上でどうしていけばよいか私の中で考えていたことでもあります)。
“自分の表現したいパンを見つけること”“自分で勉強していくしかない”と仁瓶さんが言われました。今、私は今までの経験や学んできたことの積み重ねであるパンしか作れていないと思っています。ということを言うと“守破離”という言葉を仁瓶さんが言われました。
 基本とは先人が作り上げてきたもので、どんなに有名な人も、このことをベースにして自分の中で消化し自分色のパンを作り上げている。基本を守り抜いて作れる様になって、その時に見えてくるものがある。少しずつ上がっていくしかない。ステップを踏んでいけばいい、と言われました。自分の中で何となくはわかっていることでしたが、改めて仁瓶さんの言葉として聞けて、とても気持ちが楽になり着実に努力してがんばっていこうと強く思えました。
 長くなってしまいましたが、トレボンが4年目に入ろうとしている今、私が考えている思いです。 でも一番大切なのは、トレボンでおいしいパンを焼いていくこと。お客様のために、そしてがんばっているスタッフのために。それがはっきりとわかっているから、どんなことがあってもがんばれます。 “ありがとう”感謝の気持ちでいっぱいです。

新商品のお知らせ

●レギュム 336円
オリーブのピタパンに、夏野菜をサンドしたヘルシーな一品。ズッキーニ、パプリカ、なす、かぼちゃ、トマトなどの夏野菜をオリーブオイルソテーし、バルサミコで味付けをしました。夏向きの栄養たっぷりのサンドイッチです。
●レザンオヴァンルージュ 126円
すっごくおすすめの一品です。曜日替りのメニューの一品ですが、チェックしてぜひ食べてみて下さい。久々にいい商品ができた、と思ってます。シナモン、アニス、オレンジの皮とともにワインを煮て、とても香りと深い味わいのワイン(ヴァンショー)を作ります。そのヴァンショーで作ったワインのパンです。ぷちぷちっとした食感の穀物やくるみがアクセントとなり、ワインにつけこんだレーズンとサルタナがとてもいい香りと味です。
●いちぢくパイ 242円
いちぢくの旬の時だけ限定です、見逃さないでね。アーモンドクリームとカスタードをのせ焼き上げたパイに、ぷちっとおいしいいちぢくをのせて焼き上げました。うまい、とスタッフの声。
●もものデニッシュ 252円
お待たせしました!これも、もものおいしい時だけ限定です。ジューシーなももとカスタード、ケーキスポンジ、デニッシュの組合せはまるで上質のケーキの様

これから本格的に始まる暑い夏、ちょっとだるくて元気がなくなりそうな時は、トレボンのおいしいパンを食べて元気出して下さい!おいしいパンで夏を乗り切ろう!
K.O.
| prev | index | next |