セ・トレボン --VOL.58--
パリ12区のパン屋さん Boulamgeve d ISaでのスタージュ(研修)
2006.4.29
 シャルルドゴールの空港に着いてすぐに、今回のスタージュ先のパン屋さんのある12区の、ガールドリヨンへと向かいました。いつも、初めてのスタージュ先へ行く時、すごく緊張します。今まで私がスタージュしてきた店は、けっこうパリでも有名なところが多く、パリのパン屋さんガイド(有名なものが2冊ありますが)に載っている所ばかりでした。しかし、今回のお店は、その2冊ともに載っていなかったのです。大丈夫かなぁ〜とちょっと心配でした。なぜって? パリのパン屋さんがみんながみんなおいしいわけでも、素敵なわけでもないからです。けっこうあれっ?? というパン屋さんもいっぱいあります。だってパンが主食の国、歩くところ気づけばどこでもパン屋をみかけることができます。日本におけるパン屋の存在とは違います。

 フランスを訪れるたび、ガイド本を片手に有名なたくさんのパン屋を訪ね、食べ歩きました。でも、今回ほとんどパン屋まわりをしませんでした(もうひとつのスタージュ先のメデール氏がある土曜の夕方パリの5・6軒のパン屋を案内してくれたことはありました。ほんとやさしい!!)。時間がなかったこともありますが、日本の業界の本にのってる様などんな有名なお店のパンを食べても“うんおいしい”としか思わなくなったのです。働いているパン屋のパンを食べても“うんおいしい”。そう、あんまり違いがないことに気づきました。近くにパンのある生活。自分のお気に入りのパン屋で、焼き立てのパンを買って食べる、それが一番おいしくて幸せなんだなぁって思いました。ということで、私が一番好きなパンは17区のメデール氏のところのパンかな?

 もちろん、ムッシュショラン(Boulamgeve d ISa)のとこのパンもおいしかった。だって、私が大好きな人達が焼くパン屋のパンだから。きっとそういうものなんだと思いました。毎年1回は、フランスのパン屋で2週間ほど働きます。もちろん技術・感性を磨くため。でも、このことはそう大切なことではありません(とは言ってもトレボンのパン達はフランスのパン屋で勉強させてもらったおかげで生まれました)。何が一番の目的かって… それは、心の電池の充電のため。人の温かさに感謝し、心が通じ合う喜びを心から感じれるからです。普段生活している中ではなかなか感動することには出会えないかもしれませんが、フランスのパン屋で働くたびパンを作る仕事を通しての出会いに感謝し、この仕事のすばらしさを思います。
 自分をとりまく普段いる小さな世界だけではなく、世界は広いこと。普段の価値観の通用しない世界があるということ。毎日毎日ちっぽけなことに悩んだり、苦しんだりしてたんだなぁって思えます。ムッシュショコランのBoulamgeveでのスタージュ最後の日は深夜1時から仕事をしました。このパン屋さんでは週に3回ほど、マルシェ用にたくさんのパンを焼いていました。(マルシェを知ってますか?朝市です。新鮮な魚やチーズ、野菜、パン、雑貨などパリの街のいろんなところにたちます。) 3人のマルシェで売る人が朝パンを買いに来ます。私から見ると、“わっ今日は焼きすぎちゃったのかな”というくらいのパンがあったのですが、おもしろいのは、マルシェで売る人によってよく焼けたのを好む人。あまり焼けすぎでないのを好む人がいて、わざと焼き分けていたのです。
 日曜はお店は休みなので、土曜の夜中はマルシェ用のパンだけを焼きます(それと、自分たちの朝ごはん用とか言ってクロワッサンとパニオショコラ焼いてました…)。ですので、その研修最後の夜は、ジョニーというブーランジェと2人で仕事をしました。日本では今やっとブーランジェ・ブーランジュール(パン職人)は人気のある職業となってきましたが、フランスでパン職人というとまだまだ人気とかではなく、しようがないからパン職人を選ぶというくらいと聞いたことがあります。大学に行って何でパン職人になるんだ…とびっくりされたことがあります。フランスはパンが主食の国。1日に焼くバゲットの数はほんとすごい量です。どんどん仕込んで成型して焼かないと間に合わないのです。おいしければそれでいい。パンのクープだって、焼き色だって、全然気にしていません。メデール氏の店とか人気の店はめまぐるしいスピードが要求されます。今までそういうパン屋で働く職人さんを見てきました。ムッシュショランのパン屋で、他の職人さん達と違って、なぜかジョニーの焼くパンは輝いていました。美しかったんです。なぜだろうとふと思ってはいました。夜中に一緒に2人で働いていろんな話をしました。
★14才からパンを作る仕事をしていて、お父さんが家でパンを作っているのを見た時、これが自分の仕事だ! と思ったのがきっかけだったこと。
★ムッシュショコラン(オーナー)とは、13年間一緒に働いていること。昔は厳しくてよくなぐられたりしたこと。今はほんと、いいおっちゃんという感じで、若い見習の子に対しても甘いって言ってました。
★パンを買ってくれるお客様へパンを通して喜びを届けている。私の人生の(生き方)を与えているということ。
★バゲットにクープを入れること。それが私のサインであり、そのサインが美しく入ることが私は大好きである。
★12時間以上働いているけれど、パンを作る仕事を愛していて、楽しい。パン作り、それは私の人生。 ★ベトナム人ハーフの彼女がいて、もうすぐ結婚するということ。彼女にも自分がパン作りを教えていて将来一緒にしたいと考えているということも話しました。
こんな思いを持って仕事をしているブーランジェにフランスで初めて出会いました。何だか私の気持ちと通じるものがあって、一緒にパンを作り、話ができて心からうれしかったです。すごいなぁ〜と思ったので、彼に年をたずねました。彼は27才の若いブーランジェでした。分割してベンチをとる時の生地の取り扱い方、クッシュにねかせる時はこの長さできちんとそろえてカゴに入れる時のクープはこう入れるべきと細かく注意してくれいろいろ教えてくれました。(フランスのブーランジェの中ではほんとまれだと思います。日本には細かい人多いですが…)ムッシュショコランとジョニーとは、また来年必ず来るね! と約束をしました。

 フランスに行って、“帰ってきたよー”と寄れる場所がまた増えました。忙しい中、いろんなこといっぱい教えてくれようとしました。ほんとにとってもとっても温かかった。だから、どんなに大変でもパンを作る仕事を続けていけそうです。パン作りは、私の人生そのもの。この仕事を通しての出会いと感動に感謝します。次会はフランス国立製菓製パン学校で短期講習をうけたことなどを書こうと思っています。

 スタッフ募集してます。パン製造・販売スタッフ、カフェでのサービススタッフを募集しています。 くわしくはトレボン大西までTELください。 092-533-9722
 もうすぐ夏がせまってくるー! この前まで春だったのに…。デニッシュなど夏メニューにだんだん変わっていきます。お楽しみに

K.O.

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