セ・トレボン --VOL.59--
フランスの旅2 フランス国立製菓製パン学校に行く
2006.5.28

 今まで、パリを中心に、いろんなパン屋さんやサンドイッチ屋、お菓子屋でスタージュをしてきました。たくさんの貴重な経験をして、多くの人と出会え、いっぱいいっぱい感動してきたのですが、ずっとフランスのパン学校へ行ってみたいというのがありました。でも授業はフランス語…私にはきっとまだまだついていけないはずとあこがれつづけていました。そして今回勢いで申し込んじゃいました。 そして不安な気持ちをいっぱい抱きつつ、学校へ行ったのですが、ほんとよかったです!
すごく楽しかったんです。3日間で12万円かかりました… でも全然おしくない、また行きたいっと思えました。初日、8時に学校の受付に来て下さいと書いてありました。
 フランス人って8時と言われたら8時ちょうどか8時過ぎしか来ないのがパン屋さんでは普通でした。きっと学校でもそうだろうと、私は8時ぎりぎりに行きました。2階の部屋に行って下さいと言われ、その部屋を開けると、もうすでにみんなは席について資料に目を通していました。2クラス約15人の生徒となる職人さんがもうすでにいて、私が開けたとたん一斉にみんなが私の方を向きました。そう若そうな(??)女性で日本人である私にきっとみんなは、びっくりしたと思います。他の職人さんはすべてフランス人の男性で、パン屋のオーナークラスの人がほとんどだったからです。私を待ってたかの様に、今回の講義の説明が始まり、あまりに早いフランス語が全く聞きとれませんでした… “どうなるんだろうこれから3日間、こんなスタートで大丈夫か…”と、すごく不安になったのでした。日本から買っていった電子辞書もいちいち開いて調べる時間なんてなく、気持ちだけがあせりました。

【どんな風に3日間の講習が行われるか】
 年間のスケジュールがあって、パンとお菓子それぞれにいろんなテーマの講習があります。今回私が選んだのは、パンスペショーとそのプレゼンテーションのコースでした。生徒は7名、それに先生が1名という少人数で講習は行われます。みんなで手分けして生地を仕込み、成型して焼くという一通りの行程をすべて行います。言葉が完全でない私は、全神経を集中して授業にのぞみました。今まで培った経験と勘。その場の流れから判断してみんなに遅れをとらない様がんばりました。初日は、ほんと緊張したのですが、3日目最終日は終わってしまうのがほんとに悲しくてさみしい気持ちになるくらい楽しくなってました。

【お昼は】
 朝仕込んで、生地を成型すると低温の発酵室へ生地を入れ、お昼ごはんをたっぷり1時間は時間をかけて食べます。学校には食堂があって、普通の1年コースや半年コース、2年コースなどで通っている若い生徒さん達が食べている大きなホールとは別に個室が3つくらいあります。その個室で8人、1つの丸テーブルを囲み食事をしました。みんな、フランスのいろんな地方から集まってきている職人さんなので、パンに関するいろんな話題ですごく盛り上がってました。料理はきちんとコースで出てきました。前菜から始まり、メインが出て、チーズとサラダが出て最後にデザートとコーヒーが出ます。パンやデザートは学校の生徒さんが授業で作ったものの様でしたが、すごくおいしかったです。もちろんみんな、ワインやシードル、ビールをお昼から飲んで会話もはずみ、涙を流しながら笑ってる人がいるほどでした。

【学校に行ってみて】
 内容的には、ほんとに充実していました。今、フランスで行われている技術の最先端だと思います。それが学べたことは大きかったです。もっと言葉が理解できれば、先生の深い説明をきくことができたり、みんなと深い話もできるのにと、それが一番くやしかったです。でも、住む国は違うけれど、同じパンを作る仕事をしているから出会うことができ、笑い合ったり、パンのことを話せたりするのってすごいことだと思います。仲間として、パンと一緒に作り上げていく。こんな喜びはなかなか味わえないものです。パンを作る仕事は、私にとって幸せに生きていくための一つの手段だと思っています。一つというか唯一の手段です。この仕事をしているおかげで、いろんな人と出会えます。日本だけでなくフランスの職人さんとも。たとえ言葉は充分でなくとも、心が通じている時ってすごくわかります。物では決して味わうことのできない本物の感動が味わえるのは、人との出会いによって生まれると私は思います。そのために毎日がんばってパンを作り、自分の技術のレベル、人間性を上げる様、努力するんだと思います。

【最終日】
 3日間で作ったパンをディスプレイして、みんなで記念の写真をとり、シードルで乾杯しました。そして終了証書をもらって終わりました。みんなと握手を交わし、“ありがとう、また会おう”と言って別れました。ルーアンからパリへ帰る列車の中で、充実感とともに終わってしまった〜楽しかったなぁ〜 というさみしい気持ちでいっぱいでした。

【お知らせ】
このパン通信のバックナンバーはないんですかという声を頂くことがあります。ホームページの中にすべての通信がのせてありますので見てみて下さい。 http://www.ishimura.co.jp/SE_TOREBON/index.html
弓削さんの外食日記の中にも載せて頂いています。 http://www.yugebun.com/
最近、ブログを書いています。書くまではブログという言葉さえも知らなかったのですが、少しずつではありますが、私が日々思うことをさりげなく書いてますのでのぞいてみて下さい。 http://blog.q-ring.jp/tresbon/57

 フランスに行くたびに、パンを作る仕事しててよかったーと心から思います。いっぱいいっぱい感動でき、心から感謝できたりします。私も昔はわからなかったのですが、仕事ってすばらしいものです。仕事を通して、自分が成長でき、いろんなことが学べます。そうすることによって、より高いレベルの人と出会えたり、感動できる様ないろんな経験ができたりするのです。もちろん仕事は甘くないです。人間関係で悩んだり、思いどおりにいかなたったり、辛かったりします。でもそんな経験が自分を強くしてくれたり、ひとまわりもふたまわりも大きくしてくれたりします。私もそうだったけど、今の若い人達を見ててこうすればもっといいのにな、世界は広がるのになと思うことがあります。学校とかではいろんなカリキュラムがあったりとかして、ぼっーとしてても卒業する時には計画されたいろんなことが学べてると思います。でも社会に出てからは違うと思うのです。仕事をしてお金をもらうのだから、ベースとしてやらなくてはいけない仕事があります。でも、カリキュラム(いつまでに何をがんばって何年後にはどうしたいか)は自分で決めないといけないのです。そうしないと、がんばってはきたんだけど、どうステップアップできたのかなということになると思います。自分で目標(夢)を決めると、それを達成するためにやらなくてはいけないことがたくさん見えてきます。普段やってたルーティンワークの一つ一つに意味が見い出せたりしますし、がんばる方向がはっきりするわけですから、目標達成するのにも効率よくがんばれると思います。目標があれば、どんなに辛くてもあきらめずがんばれるはずです。私も目標を決めてがんばってます。目標達成できないかもしれないほど高いものをかかげてるのですが、それに向かってがんばることで、私は多くのことを学べてるし、多くの人に出会い、いい影響をたくさん受けました。もしも達成できないとしても、今の私より絶対ひとまわりふたまわりは成長してると思います。与えられたことだけで満足することなく貪欲にがんばった方が道は開けるし、幸せになれると思います。世界は広い!
K.O.

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